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【ブックレビュー】自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界

著者は43歳で自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたそうです。自閉症、というと男性に多いという印象でしたが、そもそも女性のASDは見逃されているだけなのではないか、性別に特化したASDの診断基準が必要なのではないかと筆者は述べています。また、著者含めASD女性の声が載っているし、幼年期~老年期までに直面する様々な問題について書かれていて、とても勉強になりました。

特に印象に残ったのは、”ASDの女性は、ASDの脳が得意とするシステム化によって他者の能力を研究・再現することで、普通の人に擬態して社会参加できるのではないか”というところ。本来の自分を隠して、普通の人(何が普通なのかという問題につながってきそうですが、ASDではない人という意味で使われている)のするようにふるまっている。そのせいで、まわりは誰もASDであると思わないし、ASDであると言っても信じてもらえないそうです(医師にさえ)。ASDか、そうでないかの線引きって本当に難しいだろうと思います。性別に特化したASDの診断基準ができれば、自分は他人と違うと感じて悩んでいるASD女性たちが救われるんじゃないだろうかと思いました。本の中にはたくさんの当事者たちの声が載っているので、もしかしてASDなのかもしれない…と思っている方は共感できるところがあるかもしれません。

ASDの女の子・女性にとっては、幼年期から老年期までに直面する様々なことが書かれているので、とても参考になるのではと思います。思春期、友人関係、セクシュアリティと性自認、恋愛や性行為、妊娠や育児、そして就職や老後など。もちろん、男の子・男性にも参考になるところは多いです。”ASDの女の子は一般的にうまくやっていきたい、適応して問題を起こさないようにしたいと思っている。それができていない場合は、何を求められているかを彼女が理解していない可能性がある。叱る前にこのことを心に留めておこう”という一文は心に刺さりました。これは女の子に限らず、だと思います。

ASDの女の子の保護者だけでなく、ASDの人、またはそうかもしれないと思われる人、に関わる人みんなに読んでもらいたい本だなと感じました。結構内容が濃いので読むのに時間はかかりますがおススメです。

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