落語って聞きますか?我が家では、Amazonの端末・echoを買ってから、Amazonミュージックでよく聞くようになりました。耳から入ってきた情報だけで情景を想像しなくてはならないので、想像力が養われるんじゃないかなと思います。ここでは子供たちがお気に入りの落語を紹介します。どれも「5分落語」というシリーズです。
寿限無 柳家わさび
Eテレの「にほんごであそぼ」でも出てくる時があるので知っている子もいると思います。あらすじは、ある男に子どもが生まれた。子どもにいい名前を付けたいと思い、近所の物知りなおじいさんに相談に行く。こういうのはどうだい?と提案された名前を、全部付ける!と言ったものだから、子どもの名前はかなり長~くなってしまった。子どもが大きくなり、ある日、その友達がたんこぶを作って家に来た。「おばちゃん!おばちゃんとこの寿限無寿限無後光の擦り切れ……………が僕のことをぶったんだ」「なんだって!うちの寿限無寿限無後光の擦り切れ……………がぶっただって!?聞いた?おばあちゃん!うちの寿限無寿限無後光の擦り切れ……………が」と話しが続きます。みんな律儀にちゃんと名前を最後まで言うんですよね。それで、名前が長すぎるから、話している間にたんこぶがひっこんじまった。で終わりです。寿限無は名前を全部覚えられるか!?というゲームのような側面もあり、何度も何度も繰り返し聞いていました。
まんじゅうこわい 柳家小太郎
これもけっこう有名ですよね。近所の男たちが家に集まって話しているときに、怖いものは何か、という話になります。蛇がこわい、蜘蛛がこわい、と言い合っている中、一人の男は「まんじゅうが怖い」と言います。そして「まんじゅうの話をしたから気分が悪くなってきた、奥で休ませてくれ」と言って、布団を敷いてもらって寝に行きます。すると他の男たちは「あいつはいつも俺たちのことをばかにしているし、一泡吹かせてやろう」ということになり、まんじゅうを沢山買って枕元に持っていきます。すると男は「こわい、こわい」と言いながらまんじゅうをばくばく食べました!「だまされた!お前本当は何が怖いんだ!?」「ここらで熱~い、お茶がこわい」で終わり。面白いですね。男は「まんじゅうが怖い」と言えば周りの男たちが自分をおどかしてやろうとたくさんまんじゅうを買ってくるであろう、と予想できるとても頭の回転の速い人ですね。最後のお茶がこわい、も面白いです。
平林 柳家小太郎
これは「平」と「林」という漢字を知っていないと面白くないです。習っていなくても、書いてあげると1年生でも分かるかな。ある日奉公人の子どもが「平林さんの家にこれを届けてくれ」とお使いを頼まれます。紙を渡されますが、その子は文字が読めません。じゃあ忘れないようにどうするかっていうと、「ひらばやし、ひらばやし」と歌いながら行くのです。でも、道中でいろいろな人に会うので「ひらばやし」を忘れてしまいます。いろいろな大人に聞いてみますが「たいらばやし」「ひらりん」「いちはちじゅうのもくもく」「ひとつとやっつでとっきっきー」とみんなまともに読めません。(笑)「なんか違う…」と思い、とりあえず全部繋げて言って(歌って)みると周りの人たちが「気でも違ったのか?」「いえ、字が違いました」で終わり。
あたま山 柳家小太郎
大きさどうなってんの?最後、無理じゃない?というファンタジーです。あるところにケチな男がいた。何でももったいない、と言う男で、ある日さくらんぼを種ごと食べたら、頭から桜の木が生えてきた。するとみんながその桜の木の下(男の頭の上=”あたま山”)で花見をし始めた。うるさくて我慢できなくなって、男は桜の木を抜いてもらった。するとそこに大きな穴が開き、雨が降って、今度は池ができた。今度はその”あたま池”でみんなが船を浮かべて釣りを始めた。それでもう何もかも嫌になってしまって、男は自分のあたまの上にある”あたま池”に身を投げた。というお話。子どもたちはどうやって自分の頭の上の池に入るのか?と不思議がっていました。でも作り話だから、そういうものもある。と言うと納得してくれた?かな。
ちりとてちん 笑福亭瓶二
裏に住む知ったかぶりで、食べ物を出しても何のお礼も言わない竹という男をだましてこらしめる、というお話。主人公の旦那はたまたま家に腐った豆腐があったため、これを「長崎名物ちりとてちん」と言うことにして、竹に食べさせることにしました。竹を家に招いて食べ物を出しても満足していない様子。そこで、「長崎名物のちりとてちんを知っているか?」と聞くと、「もちろん知っている。少し前に長崎に行った時に朝昼晩と食べていた」と言うのです。早速”ちりとてちん”を持ってくると、竹はその臭いにおえっとなりながらも、涙が出るほど美味しいと言いながら食べます。旦那が「わしは食べたことがないけど、どんな味なんや?」と聞くと、「ちょうど豆腐が腐ったような味や」知ったかぶりは良くない、というお話ですね(笑)
猫の皿 笑福亭瓶二
古美術商の男が旅先で茶屋に寄った。すると店先で猫がエサを食べている。その皿を見た途端びっくり!売れば少なくとも300両もする、とても価値のある名品だったのだ。猫のエサの皿にしているなんて、店の主人はこの皿の価値を知らないに違いないと思った男は、この猫を3両で譲ってほしいと主人に頼む。店の主人はしぶしぶ猫を譲ることを承諾。男が「皿が変わってエサを食べなくなるといけないから、この皿ももらっていくね」と言うが、主人は「この皿は高価な品だから譲れない」ときっぱり断る。主人は知っていたのだ!「じゃあなんでこんな皿に猫のエサを入れているんだ!?」と聞くと、「こうしていると、時々猫が3両で売れまんねん」お店の主人、商売上手ですね~(笑)ちなみに1両は現在の価値だと4万円(米)、30~40万(大工の手間賃)、12~13万(蕎麦の代金)だそうです。当時の暮らしや世の中の仕組みが現在とは違っているため、単純には換算できないそうです。それでも、猫(しかも拾ってきた猫)が3両で売れたらかなりの収入になりますね。
元犬 柳家小太郎
昔、真っ白なシロという犬がいました。白い犬は生まれ変わったら人間になると言われた犬は、せっかくだから今の世で人間になりたいと思い、神社にお参りして神様にお願いします。すると本当に人間になれました!通りかかった親切な人が、服を着せてくれ、奉公人を探しているという人の家へ連れて行ってくれました。でも、このシロ、中身は犬のままです。服の着方も分からない、足を洗うために持ってきてくれた水を飲む、などなど行動は犬のまま。「名前は何と言うんだい?」と聞かれ、「シロです」「ほう、白吉とか、白太郎かい?」「いえ、ただシロです」「おお、ただしろう!いい名だ」と会話も微妙にかみ合わないけどかみ合っている。この家にはお元さんという女中がいるのですが、「元!元は居ぬか?」とお元さんを呼ぶと、「はい、今朝ほど人間になりました」で終わり。
道具屋 柳家小太郎
言葉遊びが面白い落語です。働かないで遊んでばかりいる与太郎。おじさんに道具屋をやってみないか?と持ち掛けられます。売上は好きに使っていい。商売のことは友蔵っていう人に教えてもらいなさい。と言われ、そんなら、、と店をはじめます。品物はガラクタのようなものばかり。最初のお客がやってきて、「そのノコ(ノコギリ)みせろ」「ノコ?ノコノコ(どこどこ)?」「(焼きが)甘そうだなぁ」「え、甘いの?」となめてみる。更に「火事場で拾ってからこんがり焼けてますよ」と言うとそのお客はあきれて帰ってしまった。友蔵に「しょんべんされちまったな」と言われ、え?と言うと、何も買わずに帰ることを”しょんべんする”と言うことを教わった。次のお客には「ももひきを見せてくれ」と言われる。「見せてもいいけどしょんべんはダメですよ」と言うと、「しょんべん(小便)できないんならいらない」と言って帰ってしまいます。3人目のお客は「短刀を見せてくれ」と言う。刃を見ようと思って与太郎と2人がかりで抜こうとするが全く抜けない。「それ木刀だから抜けませんよ」「それを早く言え!他に抜けるものはないのか!」「はい、お雛さまの首が抜けます。」
皿屋敷 柳家小太郎
あるところに男がいました。皿屋敷のお菊さんという幽霊がとても美人だという噂を聞き、友人と見に行ってみることにする。お菊さんは井戸から出てきて「いちまぁ~い、に~まぁ~い」と皿を数えていて、9枚まで聞くと死ぬという噂だ。そこで6枚まで聞いたら逃げ帰ることにした。行ってみると本当にお菊さんは美人で、また行こう!ということになる。(笑)そのうちお菊さんが評判になって、たくさんの人が見に来るようになり、井戸を囲うように小屋ができた。久しぶりに男が見に行くと、ずいぶん雰囲気が変わっていてびっくり。大勢の見物人が小屋にぎゅうぎゅうになっている。そこへお菊さんが現れ、「いちまぁ~い、に~まぁ~い」6枚のところで逃げようとしても、皆が出口に殺到して出られない。「きゅうまぁ~い」と9枚まで来たところで、もうおしまいだぁー!と思ったが、お菊さんは更に「じゅうまぁ~い、じゅういちまぁ~い」と続けていく。そのまま18枚まで数えて、お菊さんは井戸の中にひっこもうとするので、男は思い切ってお菊さんに「どうして18枚まで数えるんだ!?9枚までだろう!?」と聞く。するとお菊さんは「明日はここ、お休みなんです」
動物園 柳家わさび
ある男が仕事を失って困っていた。知り合いに何かいい仕事はないかと尋ねると、動物園の仕事があるという。掃除か何かかと思ったら、なんとトラの毛皮をかぶって、トラのふりをする仕事だという。トラの檻の中を歩いたり寝たり生肉を食べたりするだけの仕事で、しかも月給は100万円!男はそれはぜひ!とトラをやることにした。そしてトラになった日、いきなり放送が流れ、「今日は特別にトラとライオンの一騎打ちをご覧にいれます!」というではないか。トラとライオンを隔てている壁が上がり、大きなライオンがのっしのっしと近づいてくる!ライオンの顔が近づいてきて、食べられる!!と思ったその時、耳元で「安心しろ、俺も100万で雇われた」
のっぺらぼう 柳家小太郎
夜遅くに家に帰っていると、女の人が川に身を投げようとしている!慌てて止めに行くと、「実はわたし…こんな顔で」なんと目も鼻も口もないのっぺらぼう!ギャー!!と叫びながらその場を逃げ出して、屋台の蕎麦屋に駆け込んだ。蕎麦屋のおやじにのっぺらぼうの話をすると、「それは気味の悪いものを見ましたね、ひょっとしてそれってこんな顔で?」と、蕎麦屋の顔ものっぺらぼう!またまたギャー!と叫ぶ、するとおかみさんに起こされて、夢だと気づいた。夢の話をおかみさんにすると、「ひょっとして、こんな顔?」と言うおかみさんの顔ものっぺらぼう!「ギャー!!!」となったらまた「おまえさん、起きなさいよ!」と起こされる。「聞いてくれよ、夢ん中で夢見ちまったよ」とまた話しをする。すると、「なんで私がのっぺらぼうなんだい」と言うおかみさんの顔がまたのっぺらぼう!で、またおかみさんに起こされて…という永遠にループするお話。
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