国際教育NPOを立ち上げた著者が、日本国内の5つの特色ある教育機関を訪ねた記録。大空小学校(大阪・公立小)、杉並区、N校、侍学園、大槌の教育復興について書かれています。どの教育機関も、子どものことを一番に考えていて感動しました。どの学校も今すぐ同じようにする、ということは難しいと思いますが、こんな学校があるんだということを知っておくだけでも子どもたちへの接し方が変わるんじゃないかなと感じました。
特に印象に残ったのはN高です。『多様な人間性に多様なまま対応できる教育』というコンセプトで、様々なコースがありますが、どのコースに入ってもメンターという教育スタッフがついてくれて、学習や学校生活をサポートしてくれます。インターネットさえつながればどこでも授業が受けられるし、同級生や先生とのコミュニケーションもとれるようになっている。今のところ、我が家の子供たちは楽しく学校に通えていますが、学校にうまくなじめなかったり、学校に行きたくなくなったら、N高のような通信制の高校がいいんじゃないかと思いました。(N中という中学校もある!)そうじゃなくても、プログラミングなどのN高でできる特色ある授業がその子の興味に合致すれば、選択肢のひとつに入れてもいいなと思います。今の子どもたちは選択肢が多くてうらやましい!
こうやって魅力的な通信制高校も増えてくれば、少子化もあって普通高校も生徒を集めるために色々と試行錯誤するだろうし、結果的に子どもたちにとっていい学校が増えていくといいなと思います。
また、大空小のたったひとつの約束「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」を教職員が徹底して守る。杉並区の部分では、先生は知的好奇心をくすぐり、”知の大海”を行く子どもたちの”水先案内人”である。侍学園の、未来のことよりも”今”に手を抜かない。大槌の「大人の都合で教育を語るな」という言葉も印象に残りました。教育って、人間・その人の人生、もっと言えば未来の社会をかたちづくる上でとても重要なウエイトを占めていると思います。だからこそもっとより良いものになっていったらいいなぁ。
巻末にスタジオジブリの鈴木敏夫さんとの対談も載っています。子育てはもっと「みんなで」「ほったらかす」べき、「自分の頭を使って考えること」こそ生きていくうえで最も大切な知恵であり、その基礎を作るために必要なのは「読み書きそろばん」だそうです。
過度に大人があれをしろ、これをしろと指示するのではなくて、ほったらかして自分で考えさせる。読んだものをきちんと理解することができ、自分の考えや感情を言葉にして書く(表現する)ことができ、計算ができればもう基礎はばっちりで、あとはどんどん伸びていくだけ、ということなんだと思います。
学校について、の本ではありますが、子どもの一番身近な大人として、色々と考えさせられる一冊でした。
コメント