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【ブックレビュー】発達障害のある子の自立に向けた支援 小・中学生の時期に、本当に必要な支援とは?

図書館でタイトルに魅かれて借りました。2015年の本なので少し情報は古いかもしれませんが、とても参考になったのでここで紹介します。「自立」に向けて、親や教師、周りの大人たちがどう支援していくべきか。当事者を含む28人の専門家によってさまざまな視点から述べられています。

私が特に印象に残ったところだけ紹介します。

  • いわゆる「ふつう」にふるまうことを目標としない、「自分なりの適応、自立」を目指す
  • 高機能のASDは思春期以降に抑うつや不安状態になりやすい
  • 得意な分野をのばし、自尊心を高める
  • 自己理解につながる診断告知を慎重に行う
  • シンプルな倫理規範を言葉で明示的に教える
  • 自分にとって具合が悪くなる環境下においての選択肢を増やす
  • 「失敗はフォローできる」ということを実感できる体験を
  • 周りの大人が希望をもっておおらかに生きる
  • 「リラックスする」「ほっとする」感覚を思い出せるように具体例を集めておく
  • 自分が出したSOSを確実に受け止めてくれる大人がいるという体験
  • 余暇活動・居場所づくり

就労についてはまだ早いかな?と思ってこのブログでは触れていませんが、就労準備支援から実際に就労してからのこと、職場で求められることについても本の中で述べられています。ここからは個人的な感想を書きます。

思春期以降(小学校高学年ぐらいから)、抑うつや不安障害、強迫性障害といった二次障害が生じる可能性がある。知識として知ってはいましたが、二次障害について触れている方が複数いらしたので、これは他人ごとではないな、と思いました。予防については

  • 本人が自分の診断:ASDについて理解すること、自尊心を高めること
  • 本人について周りが理解すること(いじめの予防)
  • 信頼できる大人の存在

の3つが大切だなと感じました。

診断告知については我が家はまだ考えていなかったのですが、そろそろ考えないといけないなと思いました。自分が他の子と違っている、という感覚を持っているのか?なぜ自分はみんなと同じクラスだけではなく支援級にも行っているのか、という疑問を持っているのかどうか?聞いてみたことはないのですが、たぶん何も不思議に思ってはいないのではないかと思います。そういうタイプの子は二次障害にならないかというとそうでもない。と、この本には書いてありました。自覚的な不適応感はなくても実際にはストレスがかかっているため、イライラや怒りっぽさ、感覚過敏が強くなったり、いきなり不登校になったりすることもあるそうです。確かに、何にも考えていないようで、何かを感じ取っている…という時があります。子どもから明確なSOSがあれば分かりやすいのですが、ない場合は親や先生など周りの大人が気づいてあげるしかない。そう思うと少しプレッシャーですが、少しの変化にも気づいてあげられるようにしないとなと思います。

そして周りの理解、ですが、学校の同級生たちに理解してもらうにはやはり先生の協力が不可欠です。先生との関係性をなるべく良好に保つ努力はしなくてはいけないなと思います。(もちろん、何か問題があったらちゃんと言いますけど)それと、何かトラブルを起こした場合は本人にちゃんと謝らせる、「自分がされたら嫌なとは人にもしてはいけない」ということをしっかり教え込む。ですかね…。更に我が家のようにきょうだいがいる場合、きょうだいにも告知をしなくてはいけません。我が家はまだですが、小2の弟は薄々何か感じているようです。小4の兄の方が自分より宿題が少ないことに怒ったり、兄が自分のクラスに来て、大声で名前を呼んだり手を振ったりするのが恥ずかしいと言ったりしています。そりゃそうだよね…。たぶんもっと学年が上がると、兄の存在自体を友達にからかわれる、なんてこともあるかもしれません。今はお兄ちゃん大好きっ子ですが、いつか長男のことを疎ましく感じることもあるかもしれない。下の子たちへの告知もそろそろ考えないといけないなと思います。

最後に信頼できる大人の存在。メインは親ですね。先生や周りの大人も信頼できる大人であってほしいですが、最後の砦は親かな、と思います。(もちろん親がそうなれないケースもあるとは思いますが、我が家の場合は、です。)確実にSOSを受け止められるか、と聞かれると100%は無理かもしれない…と思います。でもそうなったら親も誰かにSOSを出せばいいし、一緒に考えていけばいいのかな。あとは受け止められる心の余裕を持つこと。親も一人の人間だから、心に余裕がないと無理ですよね。心配しすぎるのもだめ、子どもを信じる、と本にはあるけど…正直その時になってみないと分からないです。

余暇活動、居場所、好きなことを伸ばす、というのは本人もそうだけど、親もそうなのかなと思います。好きなことを大事にして、それさえあれば(していれば)嫌なことをいったん忘れてハッピーになれる!というものがあればいいですね。子どもと一緒に、親もそういうものを大事にしていきたいし、いくつもあった方が楽しそうなので、たくさん見つけていけたらいいなと思います。

とても参考になり、考えさせられる1冊でした。ぜひ読んでみてください。

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