著者は心理学の専門家として非行少年の資質鑑別などを行ってきた方で、思春期から青年期の逸脱行動を専門に教育委員会や学校などから相談を受ける特別支援教育士スーパーバイザーなんだそうです。(著者紹介より)”子どもの非行化には、発達障害児の二次障害の本態にあたる部分がとても分かりやすい形で凝縮されている”とのことで、発達障害児に限らず、なぜ子供たちは非行に走るのか、そしてそうならないためにどうしたらいいか、そうなってしまったらどうしたらいいか、などが書かれています。
思春期、というと小学校高学年から中高生。我が家の長男は小4で、まだ早いかな?と思いましたが、今読んで早めに知っておいて良かったな、と思いました。
やはり二次障害の予防としては、自己肯定感を高めること、が重要なようです。自信をなくす原因の中で大きなウエイトを占めているのが勉強。学校の勉強ができない、分からないと、周りの同級生たちに「負けている」と感じ、勉強以外の方法で優位に立とうとする。それがスポーツなどならいいけれど、非行に走ってしまう子どももいる。他の子にはできないことができる自分、すごいでしょ?ということですね。別に、頑張ることは勉強じゃなくてもいいじゃない、とも思ったのですが、子どもたちは毎日学校に行っていて、学校は主に勉強をするところなので、やはり勉強ができるか否か、が大事なポイントになってしまうのかなと感じました。あと、この本はどちらかというと先生向けに書かれているようなので、勉強ができないことに対する支援が一番やりやすい、ということなのかもしれません。
支援としては学習支援、生活支援が書かれていて、学習支援については学校でやるものがメインかなと思いました。生活支援としては、趣味や好きなことを見つけること。子どもに関心を持たせたいと思うことをまず親が好きになる。子どもの興味のありそうな趣味の会のような団体の活動に参加してみて、まず親同士が仲良くなる。とありましたが、今はコロナの影響もあってそういった活動はあまり活発ではないかもしれませんね。好きなものを通じて友達が増えるとすごく楽しそうだし、いいなと思います。でも今息子が好きなのはゲーム…。オンラインで対戦などはできますが、そこでコミュニケーションをするタイプのゲームではないし、やっぱり実際に会ってコミュニケーションをとる練習をしてほしい気はします。親に特にこれといった趣味(しかも人に会うタイプの)がないので、それに巻き込んでいく、というのもできず…。今後考えていかなきゃいけないなと思いました。
もう一つの生活支援は社会的行動の獲得。ソーシャルスキルトレーニング(SST)というものです。これは家庭でできることも多いので、何ができるか考えていきたいと思います。とりあえず小遣い管理かな。今も小遣い管理はいちおうさせていますが、小遣い帳は私が書いているし、自分の残高がいくらか、把握していないと思うので、自分でさせたいと思いました。
非行のような二次障害が起こってしまったら、の部分は、もし今後起こってしまった場合、どうすればいいかが書かれていて、なるほど!と思いました。周りを困らせる行動が起きる(起こす)ということは、本人が困っているという警告音のようなもの、必ずその行動を起こさせるきっかけになった出来事が存在する。ということを忘れないようにしたいと思いました。
それと、子どもの発言をあまり真に受けない。「勉強はもうしない」と言い出したら、「あっそう」と否定も肯定もしない。子どもの言っていることに周りがこだわってしまうと、子どももその言ったことにこだわってしまうそうです。そして折り合いをつけられる場所を見つける。そうこうしているうちに「あれは何だったのか」というぐらいケロリとすることがあるが、それは深追いせずにこちらもケロリとする方がいいそうです。
…などなど、こういう時はこうしたらいいのか!という気づきがたくさんある一冊でした。例も多く、読みやすかったと思います。「自己肯定感」というワードは最近よく目にするので(私自身が気になっているからかもしれませんが)もう何冊か本を探して読んでみたいと思いました。
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