タイトルだけは知っていたのですが、勝手に非行少年の犯罪心理学とかの本だと思っていました。しかし、非行少年の中には軽度知的障害や知的にグレーゾーンのこどもたちもかなりいて、本来支援が必要な子どもたちであるという内容でした。まさにうちの長男のような子たちの話で、もっと早く読んでおけば良かったと思いました。
著者は児童精神科医であり、病院に勤務したのちに医療少年院で勤務していたそうです。タイトルにもある”ケーキが切れない”というのは、少年院に入所している少年に、丸いホールケーキに見立てた円を3等分する線をかいてみて、と言ってもできなかったということ。少し複雑な図を見ながら別の紙に書き写す、ということもできず、簡単な足し算や引き算もできない、ということも多かったようです。
大体小学2年生ぐらいから学校での勉強についていけなくなり、周りにからかわれたり、怠けていると思われたりしていじめられたり学校にいづらくなったりして、非行に走る。いじめられたストレスで、小さい女の子に性的ないたずらをする。悪い仲間に誘われても、断れずに悪いことをしてしまう。見通しがもてないので先のことを考えられず、万引きをする。人を殺してみたいと思って、本当に実行にうつす。などなど。しかも、他人の気持ちを想像するのが苦手で、説教されてもその内容が理解できないので、反省することもない。…加害者になってほしくないし、被害者にもなってほしくない!と強く思いました。
彼(彼女)らは、認知機能が弱く知的に遅れがあるが、一見「普通」に見えることから、支援されたり、特別な対応をとられたりしてこなかったそう。知的障害はだいたいIQ70未満とされているようですが、1950年代はIQ85未満だったようです。(療育手帳をくれる基準も都道府県によって違うようです。長男はIQ73で療育手帳を持っているのですが、IQ70未満が基準の都道府県だったらもらえなかったかもしれません。)IQ70~84の子どもたちは知能分布から算定するとおよそ14%いて、標準的な1クラス35人のクラスに約5人いることになるそう。
支援されない、でも社会生活や学習に困難がある子どもたちを、じゃあどうすればいいか、というのが著者の考案した「コグトレ」というもので、認知機能のトレーニングができるそうです。この本を読んですぐにコグトレの本を注文しました。
点つなぎや間違え探し、簡単な図形を覚えて紙に書く、などのワークブックになっていて、コピーして使えるようです。(でもコピーする前提なら、最初からバラバラになる仕様にしておいて欲しかったかも…。)ひらがなが読み書きできる子を対象にしています。今日届いたばかりなので、これから取り組みたいと思います!
こちらも購入。内容は少し『ケーキの切れない非行少年たち』と重複している部分もありますが、コグトレについて詳しく載っているのと、コグトレの実践実例や知能検査についても書かれていてとても勉強になりました。全小学校でコグトレやってくれたらいいのに…。
長男の学習については、薬でどうこうできるものでもないし、どうすればいいのか全く分からずにいました。とりあえず今は下の学年の勉強(漢字の場合、長男は小5ですが、2年で習う漢字を復習しています)をしたり、難しいところは飛ばしたりしているのですが、そのぐらいしかしていなかったので、積極的にできる何かが見つかって良かったです。どのぐらい改善するのか、はまだ分かりませんが、試してみる価値はありそうです。
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